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                                          J・Hair News Vol.13 / J・Hair’s EYE

悪質業者の調査情報を共有化

ガイドラインの実践、再度確認を

 不適正取引の排除を目指した行政機関による新しい監視システムが導入されます。国と都道府県が相互に特定商取引法に関連した執行担当部署をコンピュータで接続し、悪質事業者の取り締まり情報を共有するシステムを今年夏頃からスタートさせることになりました。このシステムは「執行ネット」と呼ばれます。報告聴取や立ち入り検査を受けた事業者の名前、調査の進捗情報などが各自治体間で把握できるそうです。ますます適正取引が全ての事業者に求められるようになります。事業の健全化と消費者信頼の確保を目指して策定した当協会の「ガイドライン」、その重要性を改めて確認しましょう。

 
◎新しい事業者監視システム 経産省と全国の自治体が連携

 新しいネットワークシステムである「執行ネット」は、経済産業省の本省と各地九ヵ所の「経済産業局」、それに47都道府県の悪質事業者執行担当部署をコンピュータで結ぶものです。消費者被害を発生させている事業者を把握・監視し、特定商取引法(特商法)に基づく業務停止命令などの法執行を効果的に遂行していくことが目的です。深刻な消費者被害が全国で発生し、迅速な対応が求められていることが背景です。

 このシステムの特徴は、不適正な取引を実施した事業者の情報が全国で共有され、その事業者に対する国や自治体の調査情報、被害事例などが把握され、当該事業者に対する監視活動が全国的に取り組まれることにあります。いわば悪質事業者の”包囲網”の形成です。行政処分前の調査情報がデータベース化されますので、ある県で処分を受けそうな事業者情報が別の県でも探知され、その事業者の消費者被害が広域化している場合は、いくつかの県で同時処分が執行される可能性があります。処分内容が業務停止なら当該企業はその段階で事業活動の全面的停止を受けることになります。経済省と都道府県とが連携した「全国摘発体制」の誕生です。

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◎違反行為例が社名とともに一覧 調査進捗情報も共有化

 このシステムは早ければ今年夏には運用されます。今後、経産省から都道府県にシステムの概要が提示され、参加が要請されます。同省では参加することが都道府県の負担にならないよう、高度なセキュリティを確保したシステムとして開発することを発表しています。そのため早晩、多くの自治体がこのネットワーク(執行ネット)へ参加していくことになるでしょう。そこでもう少し詳しく見ておきます。

 消費者被害の最近の特徴は、これまでの「高額化」に加え、被害の「広域化」が進んでいることです。ある県で被害が集中し、そこで行政処分を受けても、別の県でブランド名を変えたり、扱う商品を換えたりして、消費者被害の発生を継続させている例が目立つようになったことです。
実際、本社所在地を都会に置き、販売活動をそれぞれ別の地域で展開している場合、扱う商品名が異なるなら、なかなか同一経営体であることを見抜けません。県域を越えた販売の場合、総合的に情報を把握していないと、一つの県が処分しても、他県で別の法人に組織変えし、その後の摘発を逃れることもできます。このような例はこれまで散見していたそうです。
そこで、各県が把握している事業者情報を経産省はじめ全国の自治体が共有することで、総合的な監視を可能とし、各県同時処分も執行できるようになります。そのような実効性ある対応を遂行していくためのネットワークが準備されています。

 この「執行ネット」 の最大の特徴は、経産省及び各都道府県が調査対象におく事業社名について、それぞれの機関の執行担当者が一覧できることです。どの県で、どのような消費者被害を及ぼしているのか、事業活動の履歴がデータベース化されます。しかも、その後に判明した事実など、調査の進捗状況をはじめ、どの執行機関がどんな事業者に行政処分を下そうとしているか、全国の執行職員の間で、その情報が認知されることです。処分前の調査情報が相互に把握できますので、各自治体でも効率よい対応がとれます。例えば、ある事業者への処分を準備しているいくつかの自治体があれば、連携した行政処分が同時にとれることになります。もちろん、これら情報は高度のセキュリティの下、特定の担当者に限定してアクセス可能となります。

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◎蓄積される情報、相談書き込みで精査 「端緒情報」も共有化へ

 このように、早ければ今年夏頃から指導される「執行ネット」は、参加する各自治体担当者が消費者被害の案件とそれを発生させた事業社名をどんどん書き込んでいくことで充実化されます。悪質事業者が処分を逃れようとして活動拠点を転々と変えても、そこの自治体で把握され、追跡されます。”一大包囲網の形成”と言われるゆえんです。

 しかも、調査情報や執行情報の共有だけでなく、執行へ向けた様々な情報が相互に活かされる点も特徴です。同ネットでは、「執行ノウハウ」あるいは「Q&A」などのコーナー設置も予定されているそうです。一般の人にはアクセスできないクローズドシステムですが、これらコーナーは執行担当者にとってネットの利便性の一つとされます。行政処分に関する関連法律、適正な執行方法、執行準備対策、違反事案に関する法的判断などについて、担当者相互で質問したり、それに対し回答したり、双方向で情報交換できる機能整備も予定されています。

 書き込まれる事業者情報には「端緒情報」もあります。これは摘発へ向けた初期段階からの情報で、その中には、都道府県はじめ各執行当局に提出される「申出情報」も含まれています。どのような事業者がどのような行為を展開しているか、それを調査し、必要とあらば処分してほしいとする消費者からの申出に基づく情報です。書き込みは各自治体の判断で実施されるものですが、特商法に関連した違反行為や被害事例は、法律に抵触するような悪質なものであれば、すべて網羅される仕組みとなります。

 迅速な情報の収集・共有化、悪質行為に対する全包囲システム、執行体制は確実に強化されます。

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◎特商法の改正でさらに運用整備へ 求められる事業者適正化対応

 この「執行ネット」は特商法に絡んだ事案や関連情報の収集・共有化を対象としています。現在、その特商法自体、改正検討が着手されましたので、運用強化は一層進みます。

消費者行政の今後の施策を盛り込んだ昨年の「消費者基本計画」では大きくは次の点が今後の取り組み課題とされていました。

 @法執行について引き続き協力に推進する
 A指定商品・指定役務制について廃止の可能性を検討する
 B通信販売・電話勧誘販売について都道府県への権限委譲を検討する
  
そのほかに、
 C消費者団体訴訟制度への適用の検討
  
などがあります。

 @については今回の「執行ネット」をはじめ各自治体連携のもと行政処分体制が整備されますが、A以降は同法の改正が必要となります。その意味で、二月からスタートした同法改正検討は、大きな注目点です。特に、指定商品・指定役務制の見直しや、消費者団体訴訟制度への検討は、すべての業界に影響を与える内容となります。

 それだけに、業界・業種を問わず、消費者取引を展開する事業関係者は、より適正な取引を推進することに注意を払う必要があります。消費者の信頼を確保する事業展開、この姿勢を一層貫くことが求められます。

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◎ガイドラインの重要性、再度確認 消費者の信頼性重視を
 法律の執行強化や新たな規制措置の導入は、消費者被害が深刻化していることへの対応措置です。その傾向は被害が深刻化するなら、さらに強固に実行されてきます。

 では、このような状況の中、事業者には何が求められているでしょうか。消費者苦情の適切な解決の推進、何よりも消費者被害の発生阻止や未然防止を図る姿勢です。

 そのために策定されているのが業界ごとの自主基準でしょう。当協会の場合は、守るべき指針を盛り込んだ毛髪業界の「ガイドライン」にあたります。

 このガイドラインは、業界の健全化と消費者信頼の向上・醸成を目指し策定されました。法令以上の範囲で自主基準を提示し、それをきちんと実行することで消費者からの信頼を獲得し、その信頼をさらに向上させる、そのような位置付けを持つことが評価されています。今後、多くの対応が求められてくる消費者問題ですが、ガイドラインはそれら課題を解決する指針でもあることを今一度確認したいと思います。業界の健全化は消費者の信頼なくしてはあり得ません。ガイドラインの重要性を再認識しましょう。

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