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    J・Hair News Vol.42 / J・Hair’s EYE
「日本髪」〜現在・過去・未来〜 コスモファニー株式会社 営業部

 日本の社会生活の中で、目にする機会が、少なくなった「日本髪」ですが、みなさんは「日本髪」と聞いて、どの様な髪型を思い浮かべますか?
 若い世代に、「日本髪」と聞いてみたところ、「昭和的な感じ?」などの声が多くあり、認知度が低い現状となっております。
 一般的に「前髪」「鬢(びん)」「髷(まげ)」「髱(たぼ)」で構成される結髪(けっぱつ)したものを示すようです。

「日本髪」とは?

 「日本髪」と聞くと伝統的な格式が高い印象があるかも知れません。
 「日本髪」には、伝統的なものとして、「綿帽子(わたぼうし)」と「角隠し(つのかくし)」があります。「綿帽子」は白無垢(しろむく)にだけ合わせ、「角隠し」は白無垢、打掛けどちらにも合わせることができます。
 「綿帽子」は挙式が終わるまで、花嫁は新郎以外の人には顔を見られないようにという意味が込められ、初々しさや奥ゆかしさの象徴となっています 「綿帽子」は、純白の布のイメージがありますが、素材やデザインも多様化しています。
 「角隠し」は、角を隠して夫に従順になるという意味があるとされています。
 「角隠し」は、華やかな簪(かんざし)と合わせることで、凛(りん)とした風格ある雰囲気を醸(かも)し出してくれます。奥ゆかしい雰囲気を醸し出す「綿帽子」、華やかな「角隠し」、どちらも素敵ですよね。
 伝統や格式と呼ばれているものは、長い歴史の中で瞬間を捉えたものです。
 その「伝統」「格式」に、現代に求められる発想や選択の自由度などを加えて、「日本の伝統」の良さを継承することが必要なのだと思われます。

まずは日本髪の歴史を辿りましょう。

 日本では、古来から、艶やかで長く黒い髪は美の象徴とされていました。
その長い髪を後ろに垂らした「垂(すい)髪(はつ)(かぐや姫の髪型)」が、安土桃山以前の貴族の主流となります。

◆ 安土桃山時代

 この時代の高位の公家などでは、依然として垂髪が多くを占めており、さらに時代が進むと、髪を結う・束ねる・結ぶなど、工夫を施すようになり、垂(すい)髪(はつ)を高い位置(ポニーテール)で結ぶ「根結い垂髪」となります。
 女歌舞伎や遊女が人目を惹く為に中国から伝わった髷(まげ)を真似た「唐(から)輪(わ)髷(まげ)」をするようになると、一般市民にも広がり、束ねた長い髪を折り曲げて結ぶ「髷」が誕生しました。

◆ 江戸時代

 「唐輪髷」をベースに「兵庫(ひょうご)髷(まげ)」「島田(しまだ)髷(まげ)」「勝山(かつやま)髷(まげ)」「笄(こうがい)髷(まげ)」の四つの基本的な髪型が登場し、時代が進むにつれ、この基本型から派生する様に、江戸時代の女性のおしゃれ心が、色々な髪型を生み出していきました。
 「笄髷」は、宮中女官が簪などで、長い髪を巻き付けておく、結髪から始まり、一般庶民に広がりました。
他の三つの髷は、遊女が目立つように工夫して造り上げた髪型です。
 「目立ちたい」「他人と違う」や「動きやすい」「まとめやすい」などの理由から、女性が試行錯誤して、新しい髪型を生み出していくのは、現在と変わりないように思われます。
 この時代の髪型は、身分や年齢、地域、婚歴、職業などで異なり、髪型を見れば女性の身の上がわかりました。この頃は、複雑な結い方になり、自身の手で結う事が難しく、女性向けの髪結い(かみゆい)を生業とする人が、生まれました。
 女性向けの髪結いは少なく、費用も高額とされており、遊女や芸者などのニーズにとどまっていました。
 その後、髪結の職人の増加に伴い、一般の女性に普及していきました。
 ご皇族のご成婚などでは、「垂髪」の鬢を大きく横に張り出し、後ろ髪を結んだ「大垂(おすべら)髪(かし)」は、宮中や公家、武家の高位の女性の正装のひとつです。
 前髪を結ぶ位置などが、地位や年齢、儀式により形が異なっており、「大垂髪」は、十二単(じゅうにひとえ)を着用するのが正式とされており、格式の高い髪型です。

◆「文金(ぶんきん)高島田(たかしまだ)」の登場

 現在の「日本髪」の代名詞である「文金高島田」が、婚礼用として定着したのは、明治以降とごく最近です。
それまでは、今で言うキャリアウーマンである御殿女中の髪型とされていました。 四つの基本型のひとつの「島田髷」がルーツとなり、最も格調高く結い上げたのが「文金高島田」です。
 当時の物価の「値上がり」と髷の「根上がり」を掛けて、発行通貨小判の文金を由来に、名づけられました。
 世界で最も完成された髪型と言われ、その華やかさから「幸せになる髪型」とも言われ、『婚礼』に使われるようになりました。

◆ 明治・大正

 西洋文化が急速に流入していた明治・大正時代は、「日本髪」と「洋髪」が共存した時代です。
 世相から西洋的な結び方が広がり、逆に西洋かぶれとされて「日本髪」に立ち返る風潮になり、当時は 「日本髪」にとって、右往左往という時代の中で、「洋髪」と「日本髪」が融合されて、個性的な髪型が創作された時代ともいえます。
 そのような時代の中で、「文金高島田」は、婚礼に特化した髪型として確立されていきます。
 結髪するためには、髪が少ない場合や十分な長さがない場合は、昔から髢(かもじ)などの付け毛を使用していましたが、この時代は「洋髪」の広がりから、短かい髪型を補うために、「日本髪」が大きく注目されました。
 この頃から、「婚礼用の日本髪」の需要が湧きおこりましたが、「日本髪(人毛)」は「汚い・臭い・重い」の三重苦でしたが、当時は「和装」+「文金高島田」の挙式の時代でしたから、花嫁が大変我慢していたようです。
 その後の研究により、現在の「日本髪」は、半分以下と軽く、花嫁の負担が軽減されました。
 お母様やお祖母様から「重いわよ」と聞かされて覚悟していた花嫁が、「こんなに軽いと思わなかった」と驚く場面をよく見かけます。
 過去には、花嫁支度をする式場などが、「文金高島田」などの「日本髪」を抱えておりましたが、現在は、レンタルが可能となり、サイズに合った清潔な「日本髪」を、用意できるようになりました。
 生え際も自然になり、花嫁の顔によく馴染むようになりました。

◆ 「日本髪」の現在

 文明開化以降、「洋髪」が主流となり、認識が薄れつつある「日本髪」に接する機会はあるのでしょうか?
 和装挙式ができる神社が、近隣にある地域は、花嫁行列で見る機会もあるかと思います。
 七五三や成人式でも目にしますが、七五三では、着物に小振りに結い上げた「日本髪」がとても可愛らしく見えます。
 成人式では目立つことから、「花魁(おいらん)」の「日本髪の髪型」、衣装などで、出席する方も、多く見かけております。
 一般社会では、歌舞伎、日本舞踊など以外では、「日本髪」を目にすることが少ない時代となっております。
 婚礼の場においても、洋式を選ばれる方が多く、和装婚式でも「日本髪」を選ばれる方は多くはありません。
 結婚式の打ち合せに、「日本髪」を試着しても、照れ隠しもあり、笑いもあり、実際に「日本髪」を選ぶケースは、非常に少なく、「日本髪の美しさを認識する機会」が少なくなっていることをよく表しています。
 芸能人の結婚式で「白無垢+洋髪」の衣装が選ばれることから、「和装だけども日本髪じゃない」という様式が、現在ではスタンダードとなっております。
 「綿帽子の下が洋髪」も、当たり前にあり、「着物に洋髪」のニーズも広がりを見せております。
 「昔の日本」に、憧れを抱いて自身の結婚式に「和装」 +「日本髪」を選ばれる方々も根強くあります。
 従来の「和装」+「日本髪」を、「他の人とは違うことをして、列席の人達を驚かせたい」と、「日本髪」にする新郎新婦もいらっしゃいます。
 「日本髪」は「文金高島田」だけでなく、「大垂髪」や「吹(ふき)輪(わ)」(あんみつ姫の髪型)などの「変わり髷」のようなものもあります。
 近年は、地髪結いの技術の伝承も相まったことから、小振りで自分の手でも結いやすい「新日本髪」も多くなりました。
 自分らしいものを、様々な「日本髪」の髪型から、選ぶことが良いと思われます。この日本伝統文化でもある、「日本髪」を絶やさず受け継いでいこうという潮流も強くあります。

◆ 「日本髪」の未来 これから

 東京オリンピックの開催を控えて、「日本の和」に対する関心が高まってきており、様々な事柄への影響波及から、和装の結婚式プランを、新たに組み直す式場も多くなってきました。
 日本人が、ハワイなどで結婚式を挙げるように、海外から、特に東南アジアの方々が、日本で結婚式を挙げる「インバウンド婚」が、新しい展開として多く見られるようになりました。
 日本での結婚式には、日本文化でもある和装挙式が多く、外国人の「文金高島田」の花嫁さんが、沢山いらっしゃいます。
 日本をこよなく愛してくれているからこそ、日本髪にも憧れを抱いてくれている
のかも知れません。
 東京オリンピックの表彰式などでは日本の文化的な衣装である和装(着物)を多く目にすることがあることでしょう。
 全世界に、和装(着物)の素晴らしさを知る絶好のよい機会でもあります。
 私達日本人も、和装(着物)のよさを、この千載一遇の機会に改めて感じて頂けるのではないかと期待しています。
 私ども、「日本髪かつら事業者」は、これまで250万人の新婦の結婚式に携わってきました。
 「日本髪」の未来にとって、平成から次の時代へと変遷するこの時を生かし、海外へ「日本髪」のよさを伝えるとともに、日本のみなさまにも、この機会に、あらためて「日本髪」のよさを思い起こしてみませんか。
 結婚式や七五三、成人式などで「日本髪」にという方々がおりましたら、参考にして頂けたら幸いです。

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