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                                          J・Hair News Vol.8 / J・Hair’s EYE

〜行政処分例が示す自主基準軽視の教訓〜

  高齢者を狙ったリフォーム詐欺や架空請求詐欺に加え、保険金不払いやマンション耐震設計書の偽造など、消費者の信頼を揺るがす事件が相次いでいます。国や地方自治体は違反事業者の摘発に力を注いでいますが、公序良俗違反など悪質な販売手口も目立ち、被害が拡大している分野では新たな事業者規制も検討されています。多くの業界では自主基準やガイドラインを策定し、コンプライアンスを謳って消費者対応を強化してきたはずですが、今起きていることを見ると、これでは何のための自主基準か、疑問なしとしません。
  様々な事件を他山の石とし、改めてガイドラインやコンプライアンスの重要性を確認してみることが必要です。

 
◎自主基準を軽視すると手痛いしっぺ返しが
  昨年6月に施行した「消費者基本法」には、事業者側の努力義務として「自らが遵守すべき自主基準を作成すること」という規定が盛り込まれています。そして事業者団体に対しては、そのような「個々の事業者の活動を支援」し、「消費者の信頼性を確保するための自主的な活動に努める」ことを重要な役割として明記しています。
  つまり、従来のような行政規制の強化ではなく、事業者の自主性に依拠することを明らかにした内容です。その代わり、時業者側には自主基準を策定し、厳格な運用を通して業界全体で消費者の信頼確保を目指すという仕組み作りを要請しています。法律に明記されたのは規制緩和の時代に求められる企業理念であるとも言えます。

  この規定は2000年以降続発した”企業犯罪”とも言える様々な事件によって企業の信頼が地に落ちたことを教訓化して定められました。製品の安全性に関するクレーム隠しや事故隠し、不正・違反表示などが社会問題化し、日本を代表する企業が消費者の信頼を失った結果、市場から撤退を余儀なくされる出来事も発生しました。日本経団連が「企業行動憲章」を改正し、消費者の信頼性を回復させることを呼びかけたのもこのような事件の続発がきっかけです。
  ただ、いくら自主基準を定めても、それだけでは不十分であることも問題となっています。自らが厳格に遵守し運用すること、そうしないと、結局は自主基準を持たないことと同じ結果になるからです。それを示す例がこの一年の間に頻発しています。

  「リフォーム詐欺」の事件では国や自治体から行政処分されたリフォーム販売業者の中に、自主基準を持つ業界団体の会員企業が含まれていました。消費者被害防止と業界健全化へ向けた自主基準なのにその事業者は自社に都合の良いように解釈・運用し、結果的に消費者被害を拡大させ、重い行政処分を受けました。業界団体は国の指導もあって、自主基準をさらに強化する見直しを余儀なくされています。

  「生保」の分野でも同様です。本来は支払うべき保険金が支払われず、数年間にわたり違反行為が隠ぺいされてきた事件が発生しました。当該事業者には業務停止命令などの重い行政処分が課せられました。もちろん保険業界にも業界独自の自主基準がありますが、当該事業者は自社独断で都合の良い解釈をしていたことが明らかになっています。そして結局、業界団体は国の要請で新たな自主基準を策定することになりました。

  11月に発覚した耐震構造を持つマンションの構造計算書偽造事件も同様です。住宅の設計・施工に関する法令以外に住宅関連業界には事業者が守るべき様々な自主基準があります。しかし一向に機能していないことが判明しました。
  これら一連の事件では、一体、自主基準とは何かが問われました。他の様々な行政処分例を見ても自主基準の本来の目的・役割がかすんでしまっています。そのような業界であればあるほど行政による規制強化の再検討対象となっています。

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◎未然防止と事前対応法令適用の自主的拡大
  自主基準とは何か。それを求められるコンプライアンス(法令と自主基準の遵守)とは何かに通じる問題です。
  これまでの企業不祥事や行政処分例を見ると、どんな事業者であっても法令違反はもとより、社会的信頼を失うような行為、いわゆる「公序良俗」に違反する行為は絶対に隠し通せません。今は、”健全”と思われている事業活動であっても、消費者被害増加の萌芽があるなら、後に必ず社会的制裁を受けます。
昔の人は、”天網恢恢疎にして漏らさず”と言いましたが、まさに消費者の信頼を失うと天罰が下されます。

  そのような事態を回避するために、問題を未然に防止する自前対策、しかも万全な対策が必要となっています。仮に問題が発生しても社会に対してきちんと説明責任を果たし、有効な再発防止策を講じることが求められているのです。
  この要請に応え、消費者の信頼を獲得していくために不可欠な取り組みがコンプライアンスです。自らの事業活動の方針を対外的に明らかにし、社会への寄与を明確にし、実際にそれに沿った透明性の高い活動を展開することが極めて重要となります。その一つの手段として位置付けられるのが自主基準の策定であり、その運用です。

  消費者はこの自主基準を通して事業者の”顔”をもっと知ることができ、遵守した事業を展開しているかどうか、評価することが可能となります。事業者は自主基準の適切な運用のための継続的な努力を通じて、消費者の高い信頼性を確保できます。ただ、そのためには、運用・監査・実行など「P(プラン)D(ドゥ)C(チェック)A(アクト)」と言われるマネジメントサイクルを誠実に遂行していく努力が全社的に求められてきます。

  ところが業務停止命令を受けた行政処分例を見ると、せっかくりっぱな自主基準を策定しているのに、それに沿った運用をしていないという例が散見します。経済産業省は今年の夏から特定商取引法に違反した事業者について各自治体の行政処分例を含めて全ての事業者名を公開するというポータルサイトを構築しました。それら事業者の中には処分を受ける直前まで、自社ホームページで自主基準を公開し、”消費者保護策を導入している”と強調していたところもありました。全社的な運用が遅れていたわけです。この例は完全に自主基準が”画餅”に終わっていることを示しています。背景には自主基準の軽視、コンプライアンスの軽視があります。

  内閣府の審議会が平成14年に提示した報告書の中には、自主基準の三つの役割が明記されています。
  一つが「法令の具体化・明確化」です。法律ではあいまいになっている部分について補完するものです。二つ目は「法令適用の自主的拡大」。法律以上の範囲を対象にするという意味です。そして三つ目が「法令の上乗せ」。法律で規制された以上の規制を自ら課すというものです。

  これらを簡単に言うと、自主基準は法律以上の範囲を射程に入れ、法律以上の効果を持つ、だからこそ重要、という内容となります。今や事業者は法律を守ってさえいればそれで済むという時代は過去のものとなりました。法律の「拡大」や「上乗せ」こそ、求められている自主基準です。

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◎ガイドライン重視は業界発展の指標になる
  このような自主基準は当協会では「毛髪業界の取引に関するガイドライン」に相当します。このガイドラインは求められる「三つの役割」を体現し、消費者保護と業界健全化を目的としています。従って遵守すること自体が日々の努力を必要とし、それだけに大きな成果へと結びつくものです。

  現在、多くの消費者問題が相次ぎ発生し、毎日のように特商法違反に象徴される法令違反事例が公表されています。悪質な被害事例は増加の一途を見せ、国や自治体の監視活動も強化されています。こういう時代だからこそ、自主基準の遵守が求められるのです。

  遵守には継続的な努力を必要とするだけに、業界全体の底上げにつながる即効性ある効果はすぐには期待できないかもしれません。しかし、必ず業界発展に寄与することが約束されています。何よりも関連する多くの分野からの支持を得ていること、法的規制以上の範囲と内容を持ち、実情に合わせた取引ルールとして明確化されていること、このことが次第に消費者にも浸透してきていること、などが理由です。

  ガイドラインを守ることは業界の一層の健全化及び発展への最短距離であることを改めて再認識することが必要です。ここ一年の多くの企業不祥事はそのことを端的に示しています。確信を持ってガイドラインの実行をさらに推し進めていくことが必要です。

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