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                                          J・Hair News Vol.9 / J・Hair’s EYE

〜 再確認したい「ガイドライン」の実効性 〜

  「時代のチャレンジャー」から「胡散(うさん)臭い錬金術師」へ―。”ライブドア事件”は世の中の尺度が一夜にして180度転回する様を目の当たりにさせた点で、社会に大きな影響を与えました。事件を教訓化しようと様々な規制策が検討されていますが、事件が投げかけた課題は甚大です。
  「法」や「ルール」の遵守、そして「モラル」のあり方が問われ、特に業界自主基準の遵守に関して全ての事業者に共通の問題を提起しています。法律さえ守っていればいいというだけでは必ず消費者の信頼を失う、法律以上の、上乗せルールを盛り込んだ自主基準の重要性を改めて浮きぼりにした事件でもあります。

 
◎ルール遵守が最優先  信頼確保の前提
  ライブドア事件の衝撃は静かな池に大きな石を落としたときのようなものでした。幾重にもわたる余波は鎮まることなくさらに拡大しています。
  同社への直接的な容疑は、傘下に収めていた会社を新たに「M&A」(企業の合併・買収)によって取得したと発表、株価を操作したとする証券取引法違反(偽計と風説の流布)です。海外法人を使って粉飾決算したという同法違反容疑も浮上しています。実態は経常赤字なのにグループ会社2社からライブドア本社へ利益を移転し、黒字決算したという粉飾のカラクリなどをめぐり、その手口が問題視されてもいます。正確な情報を公開せず、偽装情報を流布させて株主を裏切り、株価つりあげなど違法性高い事業を展開してきたことが社会の疑念を招いたわけです。

  この事件が衝撃を与えた一つの背景には、同社が「時代を切り拓くリーディングカンパニー」として各方面で注目されていたことが挙げられます。1996年に資本金600万円で創業した会社がわずか10年弱で時価総額7,300億円へと急成長する、この驚くべく台頭の軌跡が不況下の”チャレンジャー”として一つのモデルとなりました。特に若者への影響は大きく、現在も違法性高い方法で急成長したその手口よりも、同社のチャレンジ精神を評価する意見が散見する状況です。強制捜査直前まで”いつかホリエモンのようになりたい”と語る小学生の声を紹介していたマスコミ紙もあったくらいですので、同社の躍進ぶりとその影響力は子どもたてにまで及んでいたことがわかります。

  この事件を契機に、いくつかの規制措置が検討されるようになりました。「偽計」の手段として使われた「投資事業組合」への監視強化や、証券取引等監視委員会の機能拡充などです。株価高鷹を目的にした「株式分割」にも法的規制が必要との指摘が挙がっています。同様の事件発生を阻止し、市場の健全化を図るための措置です。
  しかし、この事件から考えるべきことは、法律に触れる違反行為についてのあれこれの詮索ではなく、社会常識に裏打ちされた「企業モラル」がなぜ社内で、あるいは業界内で尊重されなかったかという点です。モラルは行為の良し悪しを判断する社会の規範として体現されますので、結局は社会規範を反映させたルール、具体的には事業者が守るべき「自主基準」の実践のあり方が問われているのではないでしょうか。

  一般に、法律で規制される行為は法律の中に定められています。それ以外は直接規制されることはありません。そのため、法の精神に反するように思われる行為であっても最初はあいまいなままに済まされがちです。そのため、脱法行為が横行したり、公序良俗が犯されたり、法律と社会常識、守るべき自主基準の境目がわからなくなったりします。実際、これまでの消費者問題の歴史を見ると、法律違反で問題視される企業の大半は、その前に必ず脱法行為や公序良俗違反、自主基準の軽視などが問われてきました。ライブドア事件も同様です。

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◎高まる企業モラル求める声  監視される自浄・自律の実践

  以上の点から考えると、今回の事件が示した課題は端的に言って「企業モラル」と「自主基準」と言えます。法の遵守、ルールの遵守、それを維持しようとする機軸の揺らぎが問題となっています。ライブドアの驚異の成長力を支えた発想とエネルギーは何よりも法律はもとより、社会の規範、自主基準を守ってこそ評価される、そのことを改めて突きつけてもいます。「世界一の時価総額」、この目的達成へ向け違法な手段が行使されたとしたら、それは「手段の目的化」であって厳しく批判されても仕方がありません。どうして自浄・自律作用が機能しなかったのか、この点が課題となってきます。

  ライブドア事件は先に見たように、子どもたちの精神にも大きな影響を与え、社会的にも深い傷痕を残しました。株や経済の専門家をはじめ、小説家や児童文学者、大学生も交えた議論が各界で活発になされていることも傷あとの大きさを物語っています。

  大手マスコミ紙が1月下旬に実施した全国アンケート調査も注目を集めました。それによると、今回の事件の原因を「経営者や企業幹部のモラルの欠如」と答えた人が7割にも達していました。それと同時に、株式市場に対する何らかの規制や監視強化を求める人も7割もいたそうです。
  本来、「企業モラルの欠如」と「新たな規制強化」は別個の問題とされてきました。実際、これまで国は規制によるのではなく、できるだけ企業・業界の自律・自浄によって取引の適正化を図るよう指導してきました。しかし今回の事件では、国民は企業モラルの欠如に対して規制を強化することによって是正させることが必要と判断していることがアンケート調査で示されたのです。この指摘をどう受け止めるべきでしょうか。

  消費者は正しく事態を把握していると見るべきでしょう。消費者の信頼を地に落とす企業の不正、消費者はそれに対し厳しい姿勢で臨み、簡単に許すことはありません。一度失った信頼を回復するには並大抵の努力ではできないのです。しかも、一企業の不正は関連業界全体の自浄機能が有効に働かなかったものと判断し、業界全体で実効性ある措置が採られるまで消費者は監視の目を緩めません。このような、信頼を地に落とす企業不祥事はここ数年来の特徴です。自浄作用よりも規制強化を求める意見が大勢を占めつつあるのも当然の道理です。ライブドア事件では同社のみならず、IT(情報技術)産業全体が激震にあい、今も信用失墜の余震に見舞われています。

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◎信頼確保は地道な努力から  まずガイドライン重視を
  消費者から見れば過去何度も見た同じ光景が再び三たび、目の前で発生しているのです。信頼性の回復には途方もない努力が必要です。不祥事を犯した企業はそのつど社会に謝罪し、コンプライアンス(法令遵守と自主基準の遵守)の強化を表明してきました。その核心は自主基準の積極的実践であり、消費者保護の強化です。ライブドアもその例に漏れません。今後、株主保護が重大な課題になってきます。

  自主基準は法令の「上乗せ」や「拡大」を特徴としています。法律以上の範囲を射程に入れ、法律以上の効果を期待していますので、自主基準に準拠した事業活動を展開すること自体、大変なエネルギーを必要とします。地道な努力の積み重ねになるとはいえ、そのことによって業界の健全化と消費者信頼が勝ち取れるのです。

  しかも今や、「コンプライアンス」や「CSR」(企業の社会的責任)が企業評価の指針に据えられる時代です。法律を守ってさえいればそれで済む、という時代ではありません。法令は最低限守るべきモラルであり、それに上乗せした自主基準の実践が消費者の信頼、社会的評価の鍵となります。従って、規制の網をくぐり抜けようとする誘惑にかられたとき、ライブドアと同じ轍を踏むことになります。

  厳しくも、確かな方針を示す自主基準は当協会では「毛髪業界の取引に関するガイドライン」として提示されています。法令では明確になっていない部分をも対称に、適用範囲を拡大させ、実情に合わせた取引ルールとして定着させています。
  今回の事件は、企業モラルを体現した業界ルール、「毛髪業協会の取引に関するガイドライン」の重要性を再確認する機会と位置づけたいと思います。

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